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ありがとうの意も込めにっこりと笑って見せると、小太郎もにかっと優しい笑みを見せてくれた。
「・・・あ、またお客様みたい。行ってくるね。」
「おうっ、俺は団子焼いておくから」
「ごめん、よろしくね」
焼きたての団子を片手に、店先へ急いだ。
まだ、他の客もたくさん居たので、少しばかり急ぎ足で店先へ向かった。
「いらっしゃいま・・・」
そこで見たのは、いつかの浅葱色。
昨日のあの男だった。
・・・――沖田、総司。
団子屋の店先で突っ立っている彼は、私のことを見て目を見開き、驚いていたようだった。
仕組まれたような再会だったが、しょうがない。
はたから見れば、直ぐに分かるような白々しい笑みを浮かべて。
私は彼に礼をした。
「昨日は、本当にありがとう御座いました。」
今、目の前に居るのが、私が憎み続けてきた相手。
握りしめた手のひらに爪が食い込む。
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