弐 仕組まれた偶然

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「こ、小太郎・・・な、何でもないよ。大丈夫、大丈夫だから・・・」 自分に言い聞かすように、何度も、繰り返す。 それでも気持ちはまだ、何だか奮い立ったままだった。 「・・・そうか?じゃ、そろそろ店も空いてきたし俺、帰るな」 「うん、助かったよ。いつもありがとう」 「おう。また、明日」 小太郎の背中を見送って、私は接客に戻った。 もう、お昼時を過ぎたからか人気のない店の中に客は彼一人。 殺気立った気持ちを、深呼吸で落ち着かせる。 そして、胸の奥で募らせてきた復讐の念をかみ締める。 ――焦るな、時期はまだ早い。 「お客様、お団子一つお持ちしました。・・・っあ!!」 「・・・なんだ?」 「いや、何でもないです・・・」 「・・・?お、うまそー、どうもな」 私はどうやら重大な失敗を犯してしまったらしい。 彼の所に、団子を持って行く。その時に、それに気付いた。 ――だ、団子に毒を忍ばせればよかった! 頭を抱えて、叫びたくなる気持ちを必死で我慢しながら、笑顔を作った。
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