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然程、自分と年も変わらない藤堂を見ながら溜め息をつく。
剣の腕も確かで、我らが新選組の隊長も務めているのに、何とか治らぬものなのか。
この女癖。
「何ですか、沖田さん。その不信の目は」
「・・・お前の将来(さき)が不安だ」
「そんな心配は無用です。それに、ほら・・・沖田さんはあの娘が居ますもんねえ」
にやりと笑った藤堂の目線の先に見慣れた、彼女の姿が見えた。
彼女のお気に入りの桃色の着物が走る度にめくれ、足をもつらせ今にもこけてしまいそうで。
「総ちゃんっ!」
しかし、そんな笑顔で名前を呼ばれたなら叶わないものだ。
「おい、藤堂。どういうことだてめぇ。コイツちゃんと見張っとけって言っただろ・・・!」
「違うのよ、平助君は悪くなくって。私が無理を言ったの、ごめんね?」
「しょうがないじゃないですかぁ、幸乃(ゆきの)ちゃんが沖田さんを探しに行くってきかないから」
「…っ、!」
憎らしい笑みを浮かべる藤堂の隣で、幸乃がにこりと微笑む。
「大丈夫よ、今日は体調がいいから。たまには、外に出たいじゃない」
「…それは、そうだが。お前、いつ悪くなるか分かんねぇんだ」
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