壱 月夜の晩

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夜の京都を闇が包む頃。 少し遠くに出掛けていた私は、その帰り道に運悪く浪士に絡まれてしまった。 「・・・っ」 逃げても、逃げてもしつこく追ってくる彼ら。 息を切らしながら、とにかく彼らを撒いて無事に家に帰ろうと足を動かす。 しかし、体力はもう限界寸前。 私は、足をもつらせ冷たい地面に倒れ込んだ。 すると浪士達は、好機を逃すまいと私を押さえつけた。 鈍い痛みが体に走る。 逃げなきゃ、そう思うのに体は動いてくれない。 触るな、とそう声を出そうとしたが口を縛られて声さえも出ない。 もう駄目だ、と諦めて目を閉じた瞬間だ。 「・・・あ、」 私の視界に、赤が舞った。
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