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そして聞こえた叫び声。
それは、死を叫ぶ声。
「うぁぁぁ゙ぁ゙・・・っ!!」
そんな叫び声に、私の体は硬直する。
体が全く動かない、動けない。
そしてただただその様子を時が止まったように、見つめていたと思う。
―――あぁ、新選組だ。
雲の切れ間に覗く、月明かりに照らされ銀の刃が光る。
浅葱色のだんだら羽織を、冷たい風に靡(なび)かせ。
彼らは、冷たい夜の京都に赤を散らせた。
私を押さえつけた浪士達が、何者かによってどんどんと殺されていく。
それを黙って見ていることしか出来ない。
どんどん冷えていく手のひら。
「・・・」
彼らのその中心で、ひときわ綺麗な剣技を見せる男が居た。
躊躇なく、浪士達を斬り捨てるが時折とても悲しそうな表情を見せる男。
そんな矛盾した面を持つ男に、魅入ったように釘付けになる。
暫くして浪士達が皆、屍と化した時には―――私はすっかりその男を思い出した。
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