壱 月夜の晩

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「大丈夫か、女」 話しかけられた驚きで、ぱっと顔を上げた。 するとそこには、先程の美しい剣技を見せた男が居たのだ。 冷たい地面に、ぺたんと尻餅をついて座っている私。 それを見下ろす男の酷く無慈悲な横顔に、何故か、私は切ないほど苦しくなった。 「・・・これが大丈夫に見えます?」 そう皮肉めいたことを口にしてみると、男は小さく口元に笑みを浮かべた。 「そうだな、お前の言うとおりだ。ほら、怪我はねえか?」 そう言って、私を縛っていたものを解いてくれた。 意外と優しい人なのかもしれない。 さっきの人斬りと化した彼を見たから、私の心は以前と晴れないままだったけれど。 「おい、女。お前・・・こんな時間に何処に行っていた?」 そう聞かれて、一瞬どきりと胸が鳴った。 動揺を隠すように、私は曖昧な笑みを浮かべた。 「山菜採りです。いまは、たくさん採れるでしょう。」 私がその言葉を聞いて、男は呆れたように肩を落とす。
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