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「つぐみちゃん、お団子二本お願い」
「こっちにみたらし一本頂戴~」
華やかしい、昼の京の街。
その中の一軒の小さな甘味屋は、お昼時の今、慌ただしく賑わっている。
「はーい、ただいまお持ちしますね」
あちらこちらから聞こえる、注文の声に少し忙しいもののにこりと笑って答えてみせた。
昨日の夜、あの事件のせいで帰りが遅くなった為。
たまにふと眠気が襲ってくるけど。
昨日の夜は久しぶりに、良い収穫があったから、それも気にならない。
昨日は特別、山菜採りに出掛けた訳ではなかった。
しかし、夜に偶然出会ったあの男。
いや、私が出会うのを待ち望んでいた男、沖田総司。
「・・・」
今までに彼の巡察中等に遠目でしか、見れなかった。
あんなに接触できたのは初めて。
だけど昨日はちゃんと面構えも覚えたし、相手も私のことを知ってしまった。
これで、ようやく準備が整ってきたんだ。
そう思うと自然と、頬が緩む。
――もうすぐ、私が長年待ち望んだ時がくる。
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