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風の音が聞こえる
ビル風じゃない
もっと自然なもの・・・
風に誘われるように
瞑ったままの目を開けて
開いてる?
開いてないよ
アナタ達の目は開いていない
さぁ
開けて
「?わ・・・しつ?」
ベッドに寝た筈の僕が目を開けると、目の前には綺麗な和室が広がっていた。
鳥と風と池の水音が奏でるメロディーは、僕にとって酷く心地よかった・・・・・・
風の道を辿った先には縁側があり、誰かが立っていた。
赤い鎧を着けた髪の長い青年。
『漸く参ったか、正幸』
「-・・・え?何で僕の名 前を?」
問いても振り返りはしないその後ろ姿・・・・・・
『何故だと?不思議なことを訊くものだな。儂は12年間お前を呼び続けていたというのに・・・』
「12年・・・」
(僕が生まれてからずっと・・・?)
指折りそう数えていると、青年が室内へと足を踏み入れた。
「・・・・・・ぁっ・・・」
青年は純粋に綺麗で端正な顔立ちをしていた。
しかし、正幸が勉強した歴史の武装と大分違っていた。
彼を見る度、違和感を感じる。
不快な意味ではなく、もっと・・・・・・
『当たり前だ。魂は真田幸村本人だが、この容姿と服装はお前が作り上げた真田幸村の像なのだからな』
時が
止まった気がした。
「真・・・田、幸村・・・?」
『・・・なんだ?その情け ない顔は。まぁよい』
信じられないことだ。
尊敬していた人に、ましてや、戦国武将に会えるなんて夢だけど、夢のようだ。
『正幸。
お前に頼みがある。』
「!・・・頼、み、ですか?」
正幸のオウム返しに『うむ。』と短く返答すると続けた。
『お主ら子孫に、戦国乱世に来てもらいたいのだ。』
「・・・え?」
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