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「僕たち子孫を、戦国乱世へ・・・?」
『そうだ。
今ある戦国乱世の時空なるものが不安定な状態になっている。それを止める手伝いをしてもらいたい。』
背筋にそって冷たい汗が流れる。
戦国乱世に行く、とはそういうことだ。
現代に生きる12歳の子供でもわかる。戦国乱世の時代がどれ程過酷なものか・・・。
俯き動かない正幸を見越して、幸村は静かに口を開いた。
『十勇士』
「はっ。幸村様」
正幸が驚きから顔を上げた先に見えたのは、先程までいなかった10人の姿。
猿飛佐助・霧隠才蔵・望月六郎・海野六郎・由利鎌之助・穴山小助・三好清海入道・三好伊三入道・根津甚八・筧十蔵だ。だが、猿飛佐助と霧隠才蔵だけが想像と違う。
『これより、伊達・上杉・猿飛・霧隠・石田・大谷・前田の子孫と先祖を武田信玄殿の城、躑躅ヶ崎館に召集する。真田十勇士、先日申した者の所へ事の子細を伝えて参れ』
「承知」
幸村の言葉を合図に十勇士は一瞬で散っていった。
それを呆然と口を開けて見ていると不意に幸村が正幸に話を向けた。
『ということだ。』
「!」
『お主ら子孫に多忙な仕事を頼むこととなろうが、頼んだぞ。真田正幸』
その言葉を最後に正幸の意識は途切れた。
「…ちゃん……おにいちゃん…!聡史おにいちゃんが来てるよ?」
『…んあ?もうそんな時間か…』
正幸・18歳
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