イヘン

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放課後 学校の近くを流れる川中島の川辺を3人は歩いていた。 「歴史の話をする上に川中島って…」 「まぁまぁ。ちょうど雰囲気あってるしよ!で、聡史。お前は才蔵になんて言われたんだ?」 どうやら、富と俺は昔の全く同じ夢をみたらしい。 変わってたのは、全員の顔が見えたことぐらい。どうせ聡史も同じだろうと踏んでいたのだが、人生わからないものだとこの時思った。 聡史だけ、昔と夢が違っていた。 先祖に合ったところまでは全員共通だった。が、聡史は幼いころに見た夢とは中身が違っていた。 「なんて言われたんだ?」 「戦が始まる、と」 そう、戦。 ……戦? 「ちょ…!まてまてまて!!戦ぁ!?昔の夢通りなら、俺たちその戦国に行くんだぜ?なのに、戦って…」 「そんなこと、俺に言われても困る。才蔵に言え。」 「才蔵は子孫を混ぜての戦だと言ったの?」 富の言葉に一つ頷くと続けた。 「向こうの時代で何が起こっているのかはわからないが、誰かが世界のバランスを崩そうとしているらしい。」 「なんだそれ…」 「それで、そんな緊急事態が起こったため、武将たちは急遽手を取り合い戦闘に備え始めてる、ってわけ」 そこで聡史は足を止め2人のほうへと向き直った。 「世界との狭間を取り去って俺たちを戦国へと招き入れる。そのため、こちらの世界は一時停止するらしい。」 「!!そんなことして大zy「大丈夫なわけがない」…」 正幸の言葉に間髪いれずにそういうと少し眉間にしわを寄せた。 「停止するってことは神様でも無理なことだ。リスクは高い。だが、そこまでして俺たちの力を借りなければならないほどの事態に今陥ってるんだ。」 「戦国の世が、今、俺たち現代人の記憶から消えようといてるんだ…!」 鎮まる空間。 それを富が破った。 「…どうやってあたしたちを戦国につれて行くんだ?」 富の問いに聡史は富をまっすぐ見つめた。 富が言葉を聞き逃さないように…。 「何人かの武将がこっちの世界にきて辞世の句を唱えるなしい。唱える辞世の句は『曇りなき 心の月を 先立てて 浮世の闇を 照してぞ行く』らしい。」 その言葉に富は過剰に反応を示した。 「今、何て?」 「それは…梵の… …政宗の辞世の句だよ…?」
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