第一章 剣魔高等教育校

14/55
前へ
/208ページ
次へ
 箱の中心に描かれた複雑な魔方陣。何年もかけてようやく完成したという、縁を探し、契約するための魔方陣だ。  この魔方陣が完成する前は、縁を探すために自らの血で魔方陣を描き、呪文を唱えと難しかったため事故も多かった。 「説明は以上です。では、陣の中心へ」  教科書の内容を反復しただけの簡単な説明が終わり、ジーンは魔法陣の中心に立った。  ふわりと、体が軽くなるような錯覚。それと同時に陣から赤い光が漏れ始めた。眩いというほどでもなく、温かい印象を与える赤い光に包まれジーンは目を閉じた。  再び目を開いたとき、目の前は断崖絶壁だった。人が踏み入ることなど不可能であろうそこには、たった一匹の生物がいた。  全長十メートルくらいだろう。周りの岩より強固な焦げ茶色の皮膚、その中に光る鉄を思わせる銀色の鈎爪。羽ばたく翼は力強く、こちらを見据える瞳は刃物のように鋭い。
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!

588人が本棚に入れています
本棚に追加