第一章 剣魔高等教育校

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 ふと、一瞬意識が浮いたと同時に、辺りの岩場が闘技場の防御膜に覆われた壁へと替わった。足下の魔方陣は未だに輝いており、変化はないように見えた。  しかし、変化は本人しか気付かない所で確実に起こっていた。  頭というよりは心と表現出来るところで、何かと繋がっている感覚がある。まるで背中合わせで立っているように、相手の存在が互いにわかる。 「ジーン君、使い魔は?」  教師の言葉でジーンは外に意識を向けた。 「ああ、使い魔はワイバーンです。ただ、ちょっと変わり者で出てきたくないみたいっすね」  ピクリ、と“変わり者”という言葉に相手が反応したのが、まるで自分のことのようにわかった。もちろん、意図的に向こうへ聞こえるよう言ったのだが。  ジーンは小さく笑い、防護膜の解かれた扉から出た。 「ジーンどうだったの?」  出るとシェリルがそうすぐに訊ねてきた。ジーンを心配してというのと、どういうものなのかという興味からいても立ってもいられなかったのだ。
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