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「立ち上がれるの?普通腰を抜かしてるところのはずなんだけど……まぁ、流石といえば流石だけれどね」
「だ……れ?」
立ち上がることはできたが、頭が朦朧とする。気分も悪い。しかし、なんとか声を絞り出す。
「私?私は――っと、姿も見せずって言うのは流石に失礼ね」
ふっ、と空気が柔らかく揺れた。と同時に目の前にそれは現れた。
この世のものではないことは朦朧とした頭でもすぐにわかった。青く、透き通った水のような髪が宙で靡き、肌が月明かりを白く反射して幻想的な雰囲気をもたらしている。衣服は華美でない装飾が施された白いローブ。
思わず見惚れた。神々しいまでの美しさ。周りには不思議と何本も水が円を描いて浮いており、その奥から深緑の瞳が自分を見詰めている。
「さて、改めてまして。私はウンディーネ。あなたに力を貸すために現界した水を司る精霊よ」
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