588人が本棚に入れています
本棚に追加
「精霊……?」
精霊。知っている知識といえば魔法に存在する属性それぞれを司る存在であるということだけ。あまりに突拍子すぎる単語だった。
「んー、十歳のあなたにはまだわからないかもしれないわね。とりあえず、私があなたの味方っていうことは信じて」
何の抵抗もなく頷いた。助けてくれたということもあるが、ウンディーネからは何も黒いものを感じなかったからだ。
「うん。じゃあ、まず私が現界した理由を説明しておくわね。私が現界したのは、あなたを救うため。いえ、正確にはあなたに助かる可能性を与えるためね」
よくわからないが、話を進めるために頷いた。ウンディーネはそれにニコリと、柔らかい笑みを浮かべると続けた。
「私は近い未来、あなたの元に現れる予定だった。でも、偶然あなたの父親が強い力の持ち主で竜人に狙われてしまったの」
最初のコメントを投稿しよう!