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「え――」
心臓が跳ねた。倒れている三人に目を向ける。ここからでは息があるのかどうかは判断出来ない。
「今あなたが何もしなければ、目撃者を消すために竜人は全ての人に止めを刺すでしょうね。でも、あなたが戦えば――」
「どうすれば……」
「え?」
三人が生きてる。三人はまだ救える。なら、迷っている暇なんかない。
「どうすれば母さんたちを救えるの!」
ウンディーネは瞬きを数回し、また柔らかい笑みを浮かべた。
「自分を救えと言われたときは諦めかけてたのに、三人を救えるのと知ったら何をしてでも救う。優しいわね……あなたの名前を」
「え、えっとセシル」
「フルネームは?」
「セシル・ロイフォード」
名前を口にした瞬間、ウンディーネの周りに浮いていた円状の水が広がり、セシルとウンディーネを包んだ。
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