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「三人を救うには、私と契約をして戦う必要があるわ。セシル、私の後に続けてね。我、ここに契約を結ぶ」
「わ、我、ここに契約を結ぶ」
「水を司る精霊ウンディーネ、汝の力を我と共に」
「水を司る精霊ウンディーネ、汝の力を我と共に……」
水が球状になり、二人を包み込んだ。優しく、清らかな空気が満ちた空間。ウンディーネはセシルの手を掴むと、自分の指に歯で傷を付けて一滴の血をその手に落とした。
手に落ちた血は、一瞬で固まり、ウンディーネは小さく頷いた。どうすればいいのか、セシルにはそれだけで理解できた。
「契約の呪文なんて今は必要ないんだけど、あなたはまだ幼いし一応ね。さ、契約を終わらせるわよ」
セシルはウンディーネの血を飲み込んだ。体に変化はないように感じる。しかし、ウンディーネは満足気に頷いた。
(聞こえるかしら?)
突如頭にウンディーネの声が響いた。ウンディーネの方を見ると、彼女は微笑を浮かべた。
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