キミ、タカラモノ

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わたしは今回もつわりがひどくてツラい毎日だった。 だけど、初めは分からなかったお腹が膨らみだしてそのうち胎動を感じるようになって… そんな小さな、だけどわたしにとって特別な変化は嬉しいことだらけだった。 あれからわたしは秋と結婚した。 式もあげた。 みんな涙を流しながら祝福してくれた。 たぶん、あの時が秋といた中で一番幸せな日だったんだと思う。 秋は言った。 「花を幸せにする。俺は幸せな家庭を作るのが夢やった。」 わたしはお腹の中の赤ちゃんと三人で幸せになる努力をしようと心に誓った。 だから、妊娠中も学校に前期までは通い続けて夕方からはコンビニでバイトをしていた。 夜中も働こうとしたけど、母からキツく止められた。 「そんなんしてお腹の子になんかあったらどないすんの!」 お腹の子になんかあったら… そう言われてギクリとした。 そうだ… わたしの悪い癖だ… 自分がやらなきゃってなんでもやろうとしてしまう。 今のわたしは1人じゃないんだから、無理はしたらダメ。 秋を信じるんだ… 秋は… いつか、ちゃんと働いてくれる。
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