キミ、タカラモノ

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そうして妊娠8ヶ月至るのだけれど… 未だに秋はまともに働いてはくれていない。 夜になれば、わたしの体を毎日のように求めてくる。 苦痛だった。 とても… 赤ちゃんがお腹にいるのに、容赦のないやり方。 わたしはただ、ひっそりと彼の行為が終わるのを待つことしかできなかった。 この頃のわたしは秋を愛していた。 だけど、わたしにとってお腹にいる赤ちゃんが一番だった。 だからこそ、その行為が嫌で嫌で仕方なかった。 そして心のどこかで思っていたのかもしれない。 働きもしない、赤ちゃんやわたしの体のことを一切考えないこの男に、なぜわたしは尽くさねばならないのだ、と… 日に日に、彼に対しての愛情は薄れていく。 それを感じたのか、ただ遊びたかったのか分からないが… この頃から、秋は 浮気をしていた…
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