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俺は霧咲 雨月
(キリサキ ウゲツ)
人間の里で団子屋を営んでいる、タダの人間だ
空が飛べたり、魔法が使えたり、時を止めたり、風を操ったりする人間が居るらしいが、俺はそんな事は出来ない
極普通の、何処にでもいる人間だ
一つ違うとすれば、不思議な体験に会った事だ
俺が子供の頃、夜に誰かに呼ばれた様な気がして里の外に出た
誰に呼ばれたか、どうして里から出たか、全然分からない
そして、妖怪に出会ってしまい、目が覚めた
事態をようやく把握した
俺は逃げた
里に向かって走りだした
小枝が足を切ろうと、気にしている暇は無い
ひたすら走った
だが、運悪く足がもつれてしまって派手に転んだ
覚悟を決めた時、妖怪は居なくなっていた
消えたのか、逃げたのかも分からない
ただ、その直後に大きな風が吹いた
空を見上げると、
満天の星空が有った
しかし、俺の知っている形の月は無かった
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