東方蓮華想

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俺は今日、夏祭りよりも大切な物がある 穂汰にはめ一杯遊ぶ様に言っているが 俺は俺ですることがある 朝早くから俺は出掛ける 手には桶と杓と花、桶の中には水も入っている 「着いた……」 俺の行き先 両親の墓石の前だ 今日は両親の命日 桶に入った水を杓で掬い、墓石に水をかける 「……穂汰は良い子に育ったよ 天国から安心して見守っていてくれ……」 暫し、墓を見つめる 「あら?」 後ろから女の子の声がした 「あ、博麗さん」 博麗 霊夢 人里離れた神社の巫女だ 「貴方は確か……団子屋の」 「ハイ、霧咲 雨月です 今日は宜しくお願いします」 夏祭りの終わりを締める盆踊り それを勤めるのは博麗の巫女だ 「貴方も大変そうよね 弟さんを育てないといけないのに」 博麗さんは、墓を見て言った 同情なのか憐れみなのか…… だけど、俺は 「全然大変じゃないですよ 穂汰もとてもいい子に育ったので」
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