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「確かに甲斐の虎は誰にも懐くことはないということですね。」
「しかし、その御老人はもとより一氏殿も聡明な方のようだ。」
「いえ、私など才と呼べる小石を積み上げた程度の者です。しかし、松鷹様にお仕えしたい気持ちに変わりはありませぬ。御老人の話に添う形ではありますが、松鷹様にお仕えしたいと決めたのは私自信です。粉骨砕身働きますのでどうか末席にお加えください。」
一氏は再度姿勢を正し、松鷹に向かって頭を下げた。
「…こちらこそよろしく頼みたい。家臣は優秀なのだが、高虎しかいなくて人手が足りなくて結構辛かったところだ。」
「あ、ありがとうございます。」
一氏は満面の笑みを浮かべてまた頭を下げた。松鷹もそれを見て自然に笑みが零れていた。
すると、そこに大量の書類を持った高虎が入ってきて、松鷹の前と一氏の前にそれぞれ置いた。
「では、仲間も増えましたので早速仕事をしましょう。」
「待て待て、出掛ける前より多くないか?」
「当たり前です。殿がふらふらされているからどんどん貯まっていってるんです。さぁ、とりあえず期日が近いものから片付けますよ。」
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