第九章:姉川の戦塵

43/72
前へ
/262ページ
次へ
「公方様が浅井と繋がっていると…?」 一氏はまだ信じられないといった表情をしていた。 「浅井に直接ではないかもしれない。一時期、公方様が身を寄せていた朝倉を通じてかもしれない。朝倉が上洛しなかったのも、公方様の命令だと考えるとつじつまが合う。」 「なるほど。……最悪、武田とも繋がっている可能性がありますね。」 「武田だけじゃない。一向衆ともだ。これらが全て手を携えれば…。」 「完全な包囲網ですね…。」 「今回の越前侵攻、浅井をどうするかにかかっているだろうな。」 「なれば殿が伝えればよろしいのでは?高虎殿の父君を通じれば浅井とは連絡を取れるはずでは。」 「大殿が伝えない理由も何となく分かるから、どうしようか迷ってるんだ。」 そう言うと立ち止まり空を見上げた。
/262ページ

最初のコメントを投稿しよう!

524人が本棚に入れています
本棚に追加