第九章:姉川の戦塵

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「理由、ですか?」 「あぁ。多分、大殿は浅井が同盟者足る者なのかどうか見極める為に、敢えて伝えないのだと思う。」 「同盟者足る者、ですか?…なるほど、何となく分かる気がします。大殿は裏切られることがどうも多いようですからね。」 一氏は苦笑いを浮かべた。 「まぁ、ああ見えて大殿は人をあまり疑わないからな。特に身内には少し甘いかな。今回も義弟の長政殿を信じたいのだろうな。」 松鷹は前を向き直し、また屋敷へと歩き出した。一氏もそれに続いた。 屋敷へ戻ると、すぐに今回の朝倉攻略の準備を始めた。戦に於いて最も重要な兵站管理を任せられた為、補給線を確認に朝倉領付近まで出向き、近辺を確認して廻った。
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