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4月も中旬になり、新たな元号、『元亀』に変わった。
松鷹はその日に秘密裏に浅井に向けて使者を放った。朝倉を攻める事を伝えるためである。
松鷹はこの日までかなりの時間を費やし、使者を出そうか考えた。信長の気持ちも理解出来たのだか、使者を出すと決意した理由には勝てなかったのである。
その理由とは、高虎の存在であった。もし、このまま史実通りに浅井が裏切れば高虎は親兄弟と戦わなければならなくなる。松鷹はそれをどうにかして避けたかった。
無断で使者を出したことが公になれば重い罰が下るのだが、それで親兄弟で争わずに済むなら使者を出した方がいいと判断したのだった。
そして、遂に迎えた越前侵攻の日。信長は盟友である徳川家康にも援軍を要請しており、総勢3万を越える軍勢となっていた。
進軍経路は浅井を気遣ってか、琵琶湖の西の街道を進んでいた。
松鷹はその軍勢の後軍を進みながら、放った使者からの知らせを待っていた。
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