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『アシュラーン!アーシュラーン!』
草原の向こう側から大きく腕を振りながら、アシュランの元へとかけて来る少年。
アシュランは全く気付く事なく、色とりどりに咲く花たち一輪一輪に
優しい笑みを浮かべて話かけている。
『はぁ、はぁ…アシュラン。あんなに大きな声で呼んだのに何故返事をしてくれないんだよ。』
両手を両膝に置きヒドく息を切らしている。
ようやくそれに気付いて
『やぁ、ロビン・フッド』
そう呼ばれてすぐさま曲げた背中をグッと伸ばし、腕を組んで怒ったとばかりに頬を膨らませ
『僕はロビン・フッドじゃなくて、ロアン・フッドだってば!』
するとアシュランは
『あははは、改めて言わなくても分かってるよ。』
『じゃぁ、何で知ってて毎回そう呼ぶのさ!』
アシュランは立ち上がり弓を射る真似ごとをしながら。
『だってカッコいいじゃないか!あの英雄の名前で呼ばれるなんて、僕なら大喜びなのに。』
心底不思議そうな顔をしながら続けてこう言った。
『何故そんなに怒るんだい?』
『当たり前じゃないか!だって僕は弓の名手でもなければ、英雄でもない。
ただのロアン・フッドだからね!』
そんなに偉そうに言う事だろうかと、アシュランは更に不思議そうな顔をした。
と突如、あっ!と何かを急に思い出したかの様に、ロアンが大きな声をあげた。
『そんな事より、君に面白い話を聞かせに来たんだよ!』
『面白い話?』
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