3人が本棚に入れています
本棚に追加
『やっぱりまだ聞いてないんだね』
ロアンが悪戯な笑顔を浮かべる。
『一体なんの話だい?』
アシュランは首をかしげて問い掛けた。
『僕もついさっき聞いた話なんだけどね。ウェルバルト城が開城さるんだって!
そして今夜、パーティーが開かれるらしいんだ。』
ウェルバルト城とは、このヴィードアリスンのもっとも歴史のある伯爵家。ディーゼア・クリム・ウェルバルト氏のお城である。
長い紛争の最中、この国の貴族や皇族といった、高貴な身分にある者達は全ての資産を戦いに費やしていた。
城もまた軍の占拠地や怪我人をかくまう病院代わりに使われる為、閉城されていたのだが。
その必要もなくなり、平穏を取り戻した今。城主であるウェルバルト伯爵の考案により、町の福光を祝い皆で祝杯を挙げようというものだった。
『それってもしかして、僕達もあのお城に入れるって事かい?!』
アシュランがロアンの肩を揺さぶりながら、興奮した様に目を輝かせながら言った。
最初のコメントを投稿しよう!