出会い

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『やっぱりまだ聞いてないんだね』 ロアンが悪戯な笑顔を浮かべる。 『一体なんの話だい?』 アシュランは首をかしげて問い掛けた。 『僕もついさっき聞いた話なんだけどね。ウェルバルト城が開城さるんだって! そして今夜、パーティーが開かれるらしいんだ。』 ウェルバルト城とは、このヴィードアリスンのもっとも歴史のある伯爵家。ディーゼア・クリム・ウェルバルト氏のお城である。 長い紛争の最中、この国の貴族や皇族といった、高貴な身分にある者達は全ての資産を戦いに費やしていた。 城もまた軍の占拠地や怪我人をかくまう病院代わりに使われる為、閉城されていたのだが。 その必要もなくなり、平穏を取り戻した今。城主であるウェルバルト伯爵の考案により、町の福光を祝い皆で祝杯を挙げようというものだった。 『それってもしかして、僕達もあのお城に入れるって事かい?!』 アシュランがロアンの肩を揺さぶりながら、興奮した様に目を輝かせながら言った。
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