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『あ、あぁ…あぁ~ァぁあ…』
アシュランがあまりに勢いよく、肩を前後に揺らすものだから
ロアンは上手く喋れず、間抜けな声をあげるばかりだった。
『ア…アシュぅ…ラン!よ、酔い…そ…う~』
はっ、としてアシュランは両手を離した。
『ごめんよ、ロアン』
心配そうに見つめている。
『だ…大丈夫…う~。』
胸の辺りをおさえながら
『パーティーは誰でも参加出来るよ。ふぅ…
あ、ただし始まる時間は夕方の五時だから。ここをお昼には出ないと間に合わないけど』
『なら早速支度して向かわないと!』
そう言ってロアンの腕を掴み、駆け出そうとしたアシュランを引き止めた。
『ちょ、ちょっと待ってよアシュラン!僕は今から牛やひつじの世話をして。その後畑の手伝いをしなきゃ!
だから、残念だけど僕は行けない…』
ロアンはとても落ち込んだ様子で、段々声が小さくなりながらそう告げた。
『そんな…、今日だけは誰かに代わって貰って一緒に行こう!』
『ダメだよ。皆今頃城に向かってるだろうし、僕ん家は僕しか力仕事が出来る人がいないから…ほったらかして行く訳にはいかないんだ』
ロアンのお父さんは病気がちで体が弱く、お母さんは小さい弟や妹の世話でていいっぱいなのです。
『そうだったね、じゃぁ僕も行くのはよすよ』
アシュランは笑顔で言った。
『何を言ってるんだ!君まで行かないなんて…それじゃ誰にお城の話を聞けばいいんだい?』
『君と僕はいつも一緒で、僕がどんな物が好きでどんな話が聞きたいか。それが分かるのはアシュラン!君だけなのに』
ロアンは必死に説得した。それは決して事実ではない…けれど嘘でもない。
純粋に自分のせいでアシュランまで行かないなんて嫌だったし、なによりアシュランは自分よりもお城に行きたいと思っている事を知っていたからだ。
『分かったよ、ありがとうロアン』
アシュランには、ロアンの気持ちがひしひしと伝わっていた。
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