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「あったま…いって―…」
体がベタベタする。
汗かいてる。
気持ち悪。
「んあ…ミキ?」
朦朧としながら、俺は先ほどまで一緒に飲んでいた筈の友人の名前を呼んだ。
目を半分開けて、ごろんと、頭を右に動かす。
しかしそこには誰も居ない。
ぼーっとしたままの頭を、じわじわと回転させ始めれば、彼はきっと、酔ったままの俺を放って帰ってしまったんだ!と、いう考えに行き着いた。少し、腹が立った。
でも、そんな事はどうでもいい。
「…ここ、どこだっけ?」
ぐわんぐわんとする頭を何とか持ち上げ、明らかに酒の残った体を起こす。
そこは知らない場所だった。
明るいのか、
暗いのか、
分からない。
ぼんやり、霧がかった道のど真ん中に、俺は居た。
レンガが敷き詰められた道の真ん中に俺は居た。
道の向こうは霧がかかっていて先が見えなかった。
振り向いて、反対側を見たが同じような感じだ。
何だここ?
頭がついていかなくて、とりあえず、俺はぐるりと辺りを見回した。
割と広い道だ。
車8台分くらい余裕で走れるんじゃないかな?
そんな道の両側には荒れた地面が広がるばかりで、草一本生えていない。
どこまで続いているか見当もつかない。
濃い霧のせいで地平線が見えない。
とっさに思った。
俺、死んだかな?
一旦、そう思い始めると、それがしっくりきた。
そうか、俺は死んだのか。
酒の飲み過ぎで死ぬもんなのか?
あぁ、急性アルコール中毒ってやつかな?
自分に限ってそんな事、って思ってたけどな。
いざ、自分が死ぬとなれば、所詮死因なんてものは、そんなものなのかもしれない。
レンガの道路のど真ん中で、よっこらしょと、座り直しながら俺はぼんやり道の先を見た。
驚くほど落ち着いてる自分自身を不思議に思ったけど、死んでしまったらこんなもんなんだろうと、訳の分からない納得の仕方をして自分の中で解決をした。
それよりケツが痛ぇ。
レンガの道はゴツゴツと硬くて座り心地は最悪。
まぁ、座るためのもんじゃないから当たり前なんだけど。
途方もなく、
感覚のない世界で……
……さて、俺はこれから一体どうしたら…?
「お悩みですね?」
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