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ギシリと、スプリングが鳴いた。
必死に重みに耐えている。
奥底の、芯から、燃え上がるように身体が熱い。
…は…ぁ…
「…随分と、色気のある溜め息ですね。」
脳に直接語りかけるように、彼の声が頭に響いた。弾んだ口調で、凄く楽しそう。
…っん
「イイ、ですか?」
どうして、
どうして俺はこんなに汚いのかな?
「女に、なりたかったのでしょう?」
違う。
いや、嘘。
俺が女で、あれば、
「それから、こう、したかったんでしょう?」
っ、あ…
「俺と、」
違う。
違う。
「…お前じゃ、…っぅ…ない。」
「そうかな?」
「彼」は、ニヤリと笑った。
糸のように、目が細くなった。
俺の、好きな、その表情。
そして、その顔。
精悍な顔立ちで、目元が涼しくて、信念を曲げないようなキリッとした眉。
骨ばった、でも長くて綺麗な指が、ナイ筈の、胸を掴んだ。
…ぃう…ん
「綺麗。」
涙が出てきた。
嫌だと、思っている筈なのに、
いつの間にか溺れている。
どうして、
どうして、
どうして俺はこんなに汚いのかな?
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