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ACT 2.3
[全員相手になってやる!!]
『ったく冗談じゃねぇよ!!
どいつもこいつも……』
あの一件から、ウラノス部隊の半分の隊員は「ゼノスを殺したのは侠介だ」と言って突っ掛かってくる反発派が出来ていた。
そんな侠介はバラドと玲華にキレ気味で愚痴をこぼしていた。
『俺はお前の気持ちも分かるが、ソイツ等の気持ちも分かる。
まだ受け入れられていないのさ、自分の信じた隊長の死を……ズズッ~』
『私も色々と言われてきたけど、気にしなきゃいいんじゃないの?
…………ズッズズ~』
二人はそれぞれの意見を述べながらお茶をすする。
と、そこに反発派の隊員がやってきた。
目と目が合った侠介と隊員達の間に、くっきりと火花が見える。
『ねぇバラド、花火やるならバケツが必要だよね』
『ん、そうだな』
侠介はゆっくりと立ち上がり先頭の隊員の目の前まで行く
『俺はてゼノスさんを殺した訳でもなければ、好きでここに居る訳でもない。
それにアンタ達にグダグダ言われたくないな』
『隊長が亡くなったのは貴様が禁止区域にいたからだろ?
貴様がいなければ亡くならずに済んだ……違うか?』
侠介を隊員数人が囲み始めた時、
『お前達!! 何をしている!!!』
後ろから一喝する声が響く。声の主はミシェルだった。
反発派達はそそくさとその場を去り、侠介はあっかんべーをしている。
それを椅子の背もたれから覗くように見ているバラドと玲華。
『そこの二人、説明してくれるかしら?』
バラドと玲華は侠介と反発派の話をする。
『あぁなるほど。
それは仕方が無いわね』
とアッサリ。
『さっきの隊員達の先頭にいたのはゼノス隊長の一番最初の教え子よ。
だから尚更、気持ちが高ぶっているのね』
『最初だか最後だか知らねぇけど何とかしてくれよ。さすがに手ェ出す訳にはいかねぇだろ?』
『あら、少しは自分の立場を理解しているのね。
ん~……』
しばらくミシェルは黙り込み、数分後
『アンタ達、喧嘩しなさい』
ニコニコしながら、いきなり言い放ったそれにバラドと玲華はお茶を吹き出す。
『ミシェル、喧嘩って普通にダメだろ』
『えぇ「普通に」ならダメね。
でも「訓練」っていう名目でなら私が許可するわ
それに男同士なら会話は拳でってゼノスも言ってたし』
と拳を突き出して言うミシェルの顔は楽しげだった。
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