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ACT 4.3
[能力発動のトレーニング]
『……ゼノスからの件といい、今度はナノマシンであるブラディアが意志を持っているか。
全く、侠介絡みの話は退屈しないな』
椅子に座り、笑いながらミシェルの話を聞いている重寿支部長。
『笑い事じゃないわよ。
上層への報告はどうするの?』
『ちゃんと報告するさ。
「調査中」ってな』
立ち上がり、コップにコーヒーを注ぐ。
『ブラディアが意志を持っているのは驚きだが、上層が問題にしているのは「どうして侠介の能力は第二進化したのか?」だ。
それは分かってないんだろ?』
『えぇ』
『その場に居たのは、ミシェルとブラディア所有者三人だけだろ?
だったらしばらく伏せておけ。
上層に盾突く訳じゃない。
身内が「人体実験」されるのは目覚めが悪いだろ?
ってコーヒー飲むか?』
重寿支部長とミシェルが話をしている中、侠介はライ達特A隊数人を連れ軍の車を走らせ、ゼノスと初めて会ったあの場所へ来ていた。
ライは探索機を使い周辺にジュバロがいないかを確認する
『……よし。
周りにはジュバロはいない、降りていいぞ
』
万が一に備え武装した特A隊員が辺りを警戒する中、侠介とライは廃墟の奥へと進んでいく。
その一角に盛り上がった土に鉄パイプが刺さっている。
そこはゼノスの墓だった。
そこに花を添える二人。
先に口を開いたのはライだった。
『あれから、もう2年か。
早いもんだな』
『そうだな……そういえばお前等とぶつかった事もあったな』
『あの時はミシェル隊長にコテンパにやられたっけ』
『なぁライ。今は…憎んでないのか?』
『憎む? 何を今更……
憎んでいたら、お前とこうして一緒にここえは来てないだろ』
『そうか。
ありがとうな……ライ』
侠介は何かを決めたようにじっとゼノスの墓を見つめていた。
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