STAGE 4 みんな同じ仲間だろ

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ゼノスの墓から戻った侠介は一人、訓練区域にいた。 その広場の中心でただ何をする訳でもなく、目を閉じて佇んでいる。 静かに胸に手を当て問い掛けるように話しはじめる。 『ゼノスさんは、能力を使いこなせていたのか? その力を俺は使いこなす事が出来るのか? 聞こえてるんだろ? ブラディア』 侠介はブラディアの能力を発動させ、訓練用の武器を構え目をつぶったまま武器を振りはじめた。 『この力……無駄にはしない!!』 休憩を挟まずにひたすら能力を発動させたまま2時間。 体中から滝のように汗が流れ、当然息も上がっている。 『ハァ…ハァ………』 『何か考えてるように見えたが、やはりこれだったか』 声を掛けたのはライ。 手には訓練用の武器を持っている。 『イメージトレーニングは大事だが、ブラディアの能力って体力が必要だろ? 今は体力を付けるのが先決だな。 ミシェル隊長に頼んで今日一日ここは特A隊のみの使用にしてもらった。 一般隊を気にする必要はない。 相手になってやるよ』 『ライ……訓練っていっても手加減しねぇぞ? 後悔するなよ』 ぶつかり合う二人を入口で見ているミシェル。 そして小さく呟いた。 「…貴方は見てるかしら? 貴方が期待をしていた一番弟子と、貴方が期待し命を紡いだ者は今、互いを認め互いの能力を高めあっている。 貴方の目に狂いはなかったわよ、ゼノス」 数時間後、二人同時に大の字になった。 『お疲れ様』 そう言って二人に缶ジュースを渡すミシェル 『ミシェル隊長!?』 『見てたのかよ』 『えぇ、最初から。 しかしトレーニングが成ってないわね。 ぶつかり合うだけじゃただの運動でしかないじゃない。 侠介、貴方は左からの攻撃に対して弱冠対応が遅くなってる。 また自分の攻撃をする時に力任せに振るう時が多い。 相手がジュバロと言えど、それでは動きを見切られかわされるわよ。』 ミシェルは一部始終を見た上で次々に指摘をしていく。 勿論、ライにも。 『侠介、これはあくまでも第二進化の能力を発動させる為ではなく、発動させ扱えるようにする為のトレーニング。 捉らえ方を間違うとトレーニングにはならないわよ』 休憩を挟みなさいと言い残し去っていくミシェル。 『さすがミシェル隊長だな。 ちょっと見てただけであれだけ指摘出来るとは』 『さすが鬼隊長…』 『侠介、聞こえてるわよ!? 貴方達の相手、私がやろうか?』 ミシェルの眉間にシワが寄っている。 と、二人同時に 『いえ結構です』 汗のせいか、背中がヒンヤリとした。
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