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部屋の奥で本部長と通信をしている重寿の顔は緊張のせいか怖ばった顔をしていた。
『はぁ……はい。
別に構いませんが……
えぇ…分かりました』
何か適当に相槌を打っているように聞こえる。
通信を終えた重寿は椅子に座りお茶を一口。
『……ミシェル』
『何よ真面目な顔して』
『ブラディア所有者が、新しくもう一人ウラノス部隊に所属になる』
『そぅ………!?
えっ? 新しくって?』
『第三支部に居た者が転属希望を出したらしい』
フゥーと溜め息混じりにログナードが付け加える
『第三支部の厄介者ですか?』
『重寿。 厄介者ならなおさらよ。
そう言うのは上からの話だとしても普通、私に相談してから返答するんじゃないの?
それに他の支部にだって』
『まぁそう言うな。
それに厄介払いって訳じゃない。
本人からの希望で「第一支部に転属させて欲しい」って直に本部へ言いに行ったらしい』
『ふ~ん……転属を希望する意味が分からないけど、まぁいいわ。 で、名前は?』
『名前は
「神咲 詩織(かんざき しおり)
聞いた事あるだろ?』
『神咲って……まさか、あの神咲詩織!?』
神咲詩織……
性格は割と大人しいが、ブラディア所有者の中ではトップクラスの実力。
部隊長になっていてもおかしくはない実力を持ち高評価を受けているのに関わらず、昇格の話を全て蹴り続けている女性。
『出発したのは昨日らしいから、今日辺りに着くと思うってさ』
『侠介が初入隊した時みたいに、何か楽しくなりそうだなミシェル』
何を期待しているのか分からないが、ニコニコしながらお茶をすするログナード。
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