STAGE 4 みんな同じ仲間だろ

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神咲のいきなりの「侠介は彼氏」宣言から数時間。 いつもの侠介、玲華、バラドの三人と神咲は食堂にいた。 一部の隊員達の視線が侠介に突き刺さっている。 と、いきなり神咲が謝ってきた。 『あの侠介さん、ごめんなさい』 『ん? あぁ、いきなりでビックリしたけど気にすんな』 『でも…』 『大丈夫よ、詩織ちゃん。 侠介は皆を敵に回すのは慣れてるから』 うんうんと頷きながらバラドが続ける。 『そうそう。 だけどな詩織。侠介には「ライバル」が結構いるぞ?』 バラドはニヤニヤしながら玲華を見る。 『ライバル? もしかして玲華さんも……』 『ちょ、ちょっとバラド!! 何言ってるのよ!! 詩織ちゃん、気にしなくていいから』 そんな話をしているうちに回りには、また男性隊員が集まっていた。 『あ、あの!! あ、握手して下さい!!』 男性隊員の一人が神咲に向かって手を差し出している。 どこぞで見た何かの番組のようだ。 俺も俺もと長蛇の列が出来ている。 『ねぇバラド……』 『どうした玲華?』 『私も同じ女なんだけど……』 侠介は困惑している神咲をみて立ち上がり列になっている隊員に話す。 『おい、いい加減にしろよ。 何たらランキングとか知らねぇけど、周りの事も考えろよ。 それとここは食堂だ』 侠介の顔はいつになくマジだった。 『神咲がアンタ等にとって何だか知らねぇけど、俺にしても隊全員にしても仲間の一人だろ? 仲間の神咲に握手とか言ってんなら玲華にも同じ事しろよ』 『侠介……』 『なんなら俺が代わりに握手しようか?』 侠介は指の間接をコキコキ鳴らしながら手を差し出す。 「何だよ」と隊員達は去っていく。 『あの、ありがとうございます。侠介さん』 『神咲も神咲だ。 嫌なら嫌って言えよ。 皆だって悪い奴らじゃ無いんだし、言ったって何もされねぇよ』 静かに座り直し何も無かったかのように食事をする侠介。 『侠介、モテる男は辛いな』 『何言ってんだバラド。 俺は特別扱いする奴らが嫌いなだけだよ。 それより玲華……』 『…え? な、何?』 『エビフライ食わねぇならくれ』 箸でエビフライを突き刺す侠介。 『あぁ!! 私のエビフライ!! 勝手に食べないでよ!!』 玲華は反撃とばかりに侠介のミニハンバーグを奪い口へ運ぶ。 『ハハハハ!! こりゃ楽しくなりそうだ。 なぁ詩織?』 『は、はぁ…… (仲良いんだ、この二人……)』 二人の光景を見ていたバラドは笑っていた。
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