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そこは支部内の第四訓練区域。
その中央付近に侠介一人と向かい合うように鉢巻きをした隊員が約150人いる。
鉢巻きを良く見ると
「しおりん命」「しおりん最高」
などと隊員らしからぬ言葉が綴られている。
さらに、その侠介達を囲むように他の隊員達がひしめき合っていた。
『あの、ミシェル隊長。 侠介さんは本当に大丈夫でしょうか……』
心配そうに話すのは神咲。
『大丈夫よ……(多分)』
中央に向かって歩くバラドの手にはマイクが握られている。
そして、
『さぁ、いよいよ始まります!!
第一回 侠介 対 神咲ファン全員のガチンコサバイバル!!』
周りの観衆からは凄い完成が上がる。
バラドは意気揚々とマイクパフォーマンスをし内容を説明しはじめた。
『勝敗は至ってシンプル!!
侠介が残っていれば侠介の勝ち。
神咲ファン側はファンの内、一人でも残っていればファンの勝ちだ!!
そしてルール、基本は「手段は不問」とする。
1対1で戦うのもよし。
1対複数で戦うのもよし。
ただし、禁止事項としては
「相手が戦闘不能になった場合、追い撃ちは禁止」
また、
「命に関わる危険な攻撃は禁止とする」の二点だけ。
ようは「殺すな」って事、OK?』
説明していると侠介がバラドに近づき話す。
『バラド、もういい。 さったと始めてくれ』
中央に戻り武器を構える。
『それでは、LADY…FIGHT!!ッ』
バラドの号令と共に十数人が一気に侠介に向かいっていき囲む。
『侠介、覚悟ーッ!!!』
一人の隊員が武器を振り下ろすが、侠介はあっさりとかわし、みぞおちに一発。
突っ込んだ隊員は体をくの字に曲げ崩れる。
『これさ……「隊長公認」なんだよね。
分かってる?
つまり手加減は必要ないって事』
いつになく真剣な侠介の目は鋭い。
その、見た事のない侠介を前に囲んでいる隊員全員は攻撃を躊躇させた。
『(俺だってこんな事したくねぇよ……)
まだまだ人数がいるんだし、時間が勿体ない。
みんな、一気に来なよ』
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