STAGE 5 世界が広いと思う時

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侠介と神咲がいるこの場所は、第一支部から10キロ程離れた場所にあるイーグルの研究施設。 『侠介、俺達は応接室にいるから用がすんだら声掛けてくれ』 運転していた特A隊の一人が声を掛け二人と別れる。 『あのぉ~、特A隊員の侠介さんと神咲さんですよね?』 後から恐る恐る声を掛けてきたのは研究施設の研究員…だろう。 『……誰?』 侠介と神咲が同時に言うと 『あっ、すみません。 私は研究員の橘(たちばな)といいます。 今回の新しいガン・ソードの研究部長を務めています。』 『あぁ、研究部長ね……!? 部長!? あんたが!?』 橘はボサボサ頭で漫画で見るグルグル眼鏡を掛け、少し汚いサンダルを履いている。 (ちなみに女性です。) お世辞でも部長とは言えない格好だ。 『はい、部長ですが何か?』 『侠介さん、人は見かけによりませんね。』 『確かに……』 橘に案内され、とある一室へと向かう。 『所で橘さん、聞きたい事があるんですが』 歩きながら神咲が尋ねる。 『分かってますよ。 何故、「私達二人が?」って質問ですよね?』 橘は読み透かしたように言う。 『理由は、今度のガン・ソードは完全に「ブラディア所有者専用」に設計した為。 その為にブラディア所有者のデータが必要であり、一番近くにいるブラディア所有者は第一支部にいる。 そして第一支部には「噂の」ブラディア所有者が二人いるから呼んだんです』 『今の話からすると、結局誰でも良かったって事か』 侠介がボソッと言うと、橘は足を止め振り返りグイッと顔を近づけ一言。 『その通り!!』 酷い疲労感が二人を襲う。 『ここです』 しばらく歩き立ち止まった目の前の扉を開けると、まっ先に飛び込んできたのは様々な機械。 そして凄い数の白衣を着た研究員。 すると橘は 『マキ、ケンタ!! さっそく始めるから準備しなさい』 歩きながら迷い無く指示を出す。 『さぁ二人もこっちへ』 橘に呼ばれ駆け寄る。 更に奥へ進むともう一つ自動ドアがあり、橘はドア脇に付いている認証器に暗証番号を打ち込む。 ピーっと音と同時にドアが開く。 『早速だけど二人には戦ってもらうから』 「何ですとぉ」と侠介と神咲が言うのに気にも止めず準備を進める橘。
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