STAGE 5 世界が広いと思う時

5/40

29人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
神咲が右腕を上げ振り下ろすと同時、巨大な獣は口を大きく開ける 『グオォォォーーーー!!』 「存在するハズの無い獣」から咆哮が辺りに響く。 『ジュバロよりたち悪くねぇか?』 侠介はガン・ソードを構え、再び走り出す。 すると巨大な獣は一瞬消え侠介の目の前に現れる。 『そんなのアリ?』 獣の手の平が侠介にぶつかり再び侠介は吹き飛ばされる。 さっきとは違い直撃。 そのまま壁に勢いよくぶつかる。 ガラガラって崩れる壁から侠介がヨロけながら出てくる。 『おい、橘ァァ!! 趣旨が違くなってねぇか!?』 怒鳴るように話す侠介に橘は至って冷静に 『いえ、大丈夫です。 もっとぶつかって下さい。 あっ、ガン・ソードもぶつけて下さいね。 耐久性のデータが欲しいので』 『(橘め、死にやしねぇって高を括ってやがるな)』 侠介は口に出さずに心の中で思い、真剣な顔に戻る。 『ブラディア所有者の中でもトップに入る神咲の能力…… 多分、アレを叩き斬ってもダメだろうな…』 侠介はさっきとは違い少しづつ間合いを詰めていく。 ガラス越しにそれを見ている橘と研究員。 『橘さん、本当に大丈夫ですか? いくらデータ収集とは言え、侠介君の相手はブラディアのトップクラスですよ?』 『だからこそ二人を呼んだの。 これはガン・ソードのデータ収集ではあるが、「佐久間侠介のブラディア」のデータ収集も兼ねているのよ。 それに、もしかしたら私達の目の前で噂の「第二解放」が見れるかもしれないし』 『第二解放って、マジっすか!?』 研究員達は興奮している様子だ。 巨大な獣の爪が空を切り、侠介のガン・ソードにぶつかるが侠介は踏み止まる。 爪を弾き返し、その勢いで腕を切り落とす。 スゥーッと腕が消えるがすぐに元に戻り侠介を捕らえる。 『やっぱりダメか!!』 空中で捕らえられ、そのまま地面に押さえ付けられる。 『実体が無いのに…動けねぇ……』 獣の片方の腕が侠と目掛け振り下ろされる。 流石に全員が危ないと思った時、まばゆい光が辺りを包み神咲を巨大な獣ごと吹き飛ばす。 『な、何だ今のは……』 研究員の一人が呟くと橘は嬉しそうに指示を出す。 『録画、録画しなさい!! アレが佐久間侠介の第二解放よ!!』 煙の中から透明な羽を生やした侠介が見える。 『ったく、侠介も良く厄介事を頼まれるもんだ。 しばらく休んでろ侠介。 後は「俺」がやってやる』
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加