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橘はテキパキと研究員達に指示を出していた。
その姿をみると研究部長という肩書は納得できる。
『お待たせしてすみませんでした。 お二人のお陰で「色々と多くのデータ」が取れました。
新しいガン・ソードは数日中には完成すると思います』
『そっか。なら俺達はもう用済みだな?
支部に戻らせてもらうよ』
侠介が背を向けた途端、橘は侠介の肩に手をかける。
『誰が戻っていいと?
まだ「確認」したい事が有るんですよ……』
『橘さん、確認したい事って何ですか?』
神咲は首を傾げ橘に聞き返す。
すると橘のグルグル眼鏡が何故か怪しく光りだす。
『よくぞ聞いてくれました、神咲さん!!
確認したい事とはお二人のブラディアの事ですよ』
『確認したきゃ勝手にやれば? ただし俺達は帰らせてもらう。
元々ここへ来たのは新しいガン・ソードの実践データが欲しいからって事だったはずだ。
ブラディアのデータの事なんて一言もミシェルから聞いちゃいない。
帰ろうぜ、神咲』
そう侠介が言ったと同時に橘は部屋の入口にササッと先回りし、スススッと侠介の目の前まで来て顔を侠介の顔の手前までグイッと近付ける。
『さっき興味を持ったんです。
貴方は中級クラスのブラディア所有者でありながらも、ブラディア所有者の中でも最強クラスである神咲のブラディアを倒した……コレはブラディアの研究者にとって黙ってはいられない事!!
それに最強に近付いた自分のブラディアの事をもっと知りたいと思わない!?』
無意味に力の入った力説に侠介は自分の額を橘の額にグイッとぶつける。
橘の頬が若干赤くなる。
『悪いな、俺は最強なんて物に興味はねぇんだ。
最強だろうと無かろうと、今の状態で守りたい物を守れるなら、俺は最弱でも構わない。
……神咲、行こうぜ』
『は、はい!!』
部屋を出ていく侠介を追う神咲。
神咲は部屋を出る前に振り向き橘に一言。
『橘さん、今のは侠介さんの本心だと思います。
それと「回りくどい言い方」では侠介さんは落ちませんよ』
『神咲さん……』
『あっ、侠介さんは私の彼氏になる人ですから手は出させませんから!!』
余計な一言を言い去っていく神咲。
『別に奪うって訳じゃ無いんだけど……』
橘は呆れた顔をしていたが、下を向きニヤッと笑う。
『佐久間 侠介、必ず確認させてもらうわ……
貴方は知らなさ過ぎる…
元名 ニーベルン・グロッサム07。
貴方のブラディアは「主と共に成長する最強のブラディア」なのよ。』
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