STAGE 5 世界が広いと思う時

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歩く侠介に付いて行きながら、その背中をジッと見詰める神咲。 『……メチャクチャ視線を感じるんだけど、何?』 侠介は歩きながら神咲に言う。 『いや……侠介さんって人気高いんだなぁって思って』 『……何の事?』 一緒に来た特A隊の隊員と合流し特殊車両に乗ろうとした時、入口に橘が来た。 『何、まだ何かあんの?』 『いえ、見送りですよ。 本当は引き止めたいですけど』 橘はグルグル眼鏡を上下に動かしながら言う。 『俺は引き止められたくないね』 車が走り出す中、侠介は窓から手を出し手を振った。 帰る途中、神咲が呟くように話す。 『橘さんが言っていた事、私は興味があるんです』 『ブラディアの話しか?』 『はい。まだ聞いてませんでしたよね?』 『何を?』 『私のブラディア、侠介さんには何に見えました?』 神咲の質問に首を傾げる侠介は笑いながら答えた。 『何に見えたかって、「馬鹿デカイ獣」にしか見えなかったぞ。それがどうしたんだ?』 『実は侠介さんが見たソレは私のブラディア自体ではないんです。 私のブラディアの能力は、「対峙する相手に合わせ最も強い存在を具現化させる力」』 『悪ィ、神咲。解りやすく言ってくれるか?』 『「相手の力に合わせ」て形が変わるって事です。 相手が弱いモノであればそれに応じた形になり、 相手が強いモノであれば、その強さ自体を具現化させた形になる。 つまり侠介さんが見た「巨大な獣」は言わば侠介さん自身の力。 私の中のブラディアが本能的にって言うんでしょうか、侠介さんの内にある大きな力に反応して、その形になったんだと思います』 侠介は、あの巨大な獣が神咲のブラディアだと思っていた。 だが違っていた。 神咲の言ったそれをもっと簡単に言えば、あの時の巨大な獣は 「侠介自身の力の化身」 だと言っている。 『……侠介さん、貴方の力は!! って、寝てるし!!』 神咲が自分のブラディアの話しをしていた途中で寝ていた。 『神咲ちゃん、寝かせといてあげな。 侠介はいつも「外に出たら」寝ないんだよ。 いつジュバロが襲って来るか分からないからって。 でも寝ちまうって事はそれだけ疲れたんだろうな』 神咲は備え付けてある薄い毛布をそっとかける。 『…そんな可愛い寝顔したら私、ますます……』 頬を赤らめる神咲。 『お~い神咲ちゃ~ん。俺の話し聞いてる~?』 運転する隊員の声が虚しく響く。
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