STAGE 5 世界が広いと思う時

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ACT 5.3 [帰還(…って何もしてないのに、このタイトルって!?)] 『「ニーベルン・グロッサム07」? 初めて聞いたわ、そんな名前……それで貴女の結論は?』 通信機で話をするのはミシェル。 そして相手は橘。 『結論を出すにはまだデータが足りなさ過ぎるわ。 でも私は確信に近い考えはある』 『確信?』 『彼、佐久間 侠介はブラディア第二解放後記憶を失っている。 それは恐らく、ブラディアが持つ本来の力に耐え切れずに潜在的に「意識の切り替え」を行っている為…』 『(!?…アレに気付いている?)橘。何が言いたいの?』 『第二解放を行った後の佐久間 侠介は別人って事よ。 それはただの二重人格では無く、恐らくブラディアの意志……私が気付かないとでも思った? ミシェル。』 『……さすが「ブラディア開発」に携わっていた人間ね。 そうよ。第二解放した後の侠介の体は侠介の中の「意志を持ったブラディア」自らが支配し動かしているわ』 『やっぱり…会話は?』 『したわ。だから私が知ってるのよ。だけど、これについてはまだ…』 『分かってる、他言無用。 そして上層部にも… だけど、いずれバレるわよ? だからこそ、その前に第二解放は「侠介自身」が使い熟(こな)せる様にならなければならない。その為には…』『それは侠介次第よ。 言われたんでしょ?』 『えぇ、遠回しに「ざけんな」ってね。 だからミシェルからも言って頂戴。 こっちはどんな手を使っても秘密は守るから』 そんな話しをしているとドアをノックする音が聞こえた。 『「橘、また後で」……どうぞ』 『失礼します』 入ってきたのは神咲と侠介。 『ミシェル隊長、只今戻りました。 新ガン・ソードは…』 『それについては、今「本人」から報告を受けたわ。 まぁ、座りなさい』 神咲と侠介は椅子に座り、侠介は足を組む。 『なぁミシェル。あの橘って研究員、何者なんだ?』 『珍しいわね、侠介が女性に興味を持つなんて』 『…!! 侠介さん、どうゆう事ですか!?』 何故か興奮している神咲。 『違っ!! ミシェル!!』 『冗談よ、冗談。橘はブラディア開発に携わった研究員の一人よ』 『なるほどな。 だからあんにしつこかったのか……』 侠介は立ち上がりミシェルに向かって話す。 『ミシェル、橘に言っといてくれ。「俺はアンタの玩具にはならない」ってな』 侠介は後ろ向きに手を振り隊長室を出ていった。
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