STAGE 5 世界が広いと思う時

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『おっ、噂のご本人がご帰還したぞ』 一人の一般隊員が侠介を見つけ声を上げると、周りに居た一般隊員達が駆け寄ってきた。 『何だよ、噂って』 『聞いたぞ侠介。一人で巨大な「ジュバロ」倒したんだってな!!』 『はぁ? 俺、ジュバロなんか…(大きなって、まさか神咲のブラディアの事か!?) あ、あぁ!! そりゃ俺に掛かれば楽勝だぜ!!』 引き攣る侠介。 隊員室に行くとバラドがいた。 『やっぱりバラドか!!』 『皆、噂好きだからなぁ』 『特A隊だけならまだしも、一般隊にブラディアの事が知れたらマズイだろ!!』 『だから「大きなジュバロ」って事にしたんだよ。』 『何が、「だから」だよ。』 そこに玲華がやってきた。 『あっ侠介お帰り。聞いたよ詩織ちゃんのブラディア倒しちゃったんだって?』 『しばらく疲労が取れそうにないな……』 ミシェルのいる隊長室には、まだ神咲がいた。 『……で、侠介が見たのは「巨大な獣」だったと?』 『はい。 侠介さんが言ってました』 『それについては橘から映像を送ってもらうわ。私も見てみたいしね。 それで……貴女自身どう感じたのかしら?』 『正直、ほとんど記憶がありません。 いままでも能力解放した時は記憶が飛ぶんですが、今回はそれとは違うんです』 『違う?』 『はい。 いままでは、力に耐え切れずにって感じだったんですが、今回は「意識的に」というか「潜在的に」っていうか……上手く言えないんですが、何か「ブラディア自体が本能的に防御に回った」感じがしました。 あんな事は初めてです。』 『……つまり侠介が能力を解放した時、ブラディアが「潜在的に恐怖」した…と?』 『上手く言えませんが、恐らくは』 『(ニーベルン・グロッサム07……橘が言ってたわね。 「本物の最強のブラディア」だと……? ブラディアは対ジュバロの遺伝子兵器のハズ。 なのに、何故同じブラディアが恐怖を抱く? 侠介のブラディアに、今までに無い何かが起きてるのか?)』 『あの、ミシェル隊長?』 『…あっ、あぁ。 疲れたでしょ、部屋に戻り休みなさい。 召集が掛かっても私達で対応するから、ゆっくり休んでいいわよ。 侠介にも言っておいて』 『わかりました。失礼します』 神咲が出て行った後、ミシェルはコーヒーを飲みながら目をつぶった。 『(現状で最強ランクに位置するブラディアを恐怖させる侠介のブラディア。 あの時も…Sランクのジュバロと戦った時もSランクは襲って来る事無く、様子がおかしかった。 アレも恐怖していた?) これは、本当に橘の協力が必要かも知れないわね』
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