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二日後、侠介はミシェルの呼び出しで隊長室にいた。
『…で、話って何さ?』
『ニーベルン・グロッサム07……聞いた事あるかしら?』
『ん? ニーベルン・グロッサム? 新しい栄養補強剤か何かか?』
と侠介は、どこから持ってきたか分からない「リ〇ビタン」のビンを指差し、小さな声で「ニーベルン・グロッサム!!」と言ってみた。
スパンッ!!と、ミシェルはスリッパで侠介の頭をはたき、侠介はビンをしまう。
『痛ってぇな。違うなら違うって口で言えよ(今までに無い小道具を使ったツッコミ。やるなデリーター!!)』
『侠介、何ぶつぶつ言ってるの? それよりニーベルン・グロッサムは貴方のブラディアの名前よ』
『ブラディアの名前? ブラディアに名前あったなんて初めて聞いた』
ミシェルはコーヒーカップを口へ運び一口。
『「特殊なブラディア」にのみ、開発時に命名される。
そのうちの一つがゼノスに渡り、今は侠介…貴方が持っている』
しばしの沈黙。
ズズズとコーヒーを啜る侠介。
『で、それが何?』
『遠回しは無しで話すわ。
ブラディアとは対ジュバロ用に開発された遺伝子武器である小さなナノマシン。
通常であれば、ブラディアはジュバロのみ力を発揮するが…貴方のブラディアは違う』
今までとは明らかに違うミシェルの口調と目つきに、侠介の額に不思議と汗が滲みはじめた。
『…違うって……何が違うんだよ』
『研究施設での一件。報告を受け、映像も送ってもらったわ。
あの時の状況を神咲にも聞いたの。
そしたら神咲は言った……「侠介のブラディアに対し、私のブラディアが恐怖した感じがあった」と』
『ミシェル、言ってる意味が分からねぇよ』
『つまり、本来ジュバロに対してのみ発揮される力、またジュバロ以外には発揮されないハズのブラディアの力が、「ジュバロだけでは無く、ブラディアにも発揮された」って事よ』
『!!!』
すると隊長室入口のドアが開き、最近聞いた事のある声がした。
『簡単に言えば、貴方のブラディアは「同胞といえるブラディアにも」恐怖を与える存在って訳ですよ』
『……橘。ミシェルどうゆう事だ』
『侠介、貴方のブラディアは成長を続ける過程で「変異」してる可能性がある。
もしそれに上層部が気付いたら、貴方はモルモットにされるわ』
侠介はいつの間にか、つぶっていた目を開ける。
何かを決意したように…
『ミシェル、橘。俺……未だに話しの流れが分かんねぇんだけど』
間髪いれず、スパン、スパンッ!!と今度はミシェルと橘の二人によるスリッパによるツッコミが綺麗に決まった。
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