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ACT 5.4
[陰謀という名の匂い(えっ? 陰謀って匂いすんの!?)]
侠介とバラドは、橘の乗ってきた「イーグル研究員御一行様」と何故かペイントされた車に一緒に乗っていた。
『なぁ橘。この車の『三〇法師御一行様』みたいなペイント、何とかなんねぇのか?』
『バラドさん。 御一行は御一行でも、意味合いが違う前に中身も大分違いますよ? 大分って言うより全部。
でも、正直私も恥ずかしいんですけどね』
とグルグル眼鏡を怪しく光らせる。
『で、あっちに着いたら何やるんだよ』
外を眺めながら侠介が言う。
『それはもちろん…』
『もちろん?』
『か・い・ぼ・う』
『そっか………? 何ですと?』
侠介とバラドが橘を見ると、橘は満面の笑みを浮かべ、今言った言葉を口にする。
『だから「か・い・ぼ・う」です』
今まで以上にグルグル眼鏡がキラーンと光る。
バラドは静かに侠介の肩に手を乗せる。
『何だよバラド』
『侠介。人気者だな……ファイト』
そう言うバラドは明後日を見てプッと吹き出す。
『ツッこむ気も起きねぇ』
車の中には何故か笑いを堪える男と、不適な笑みを浮かべ眼鏡を光らせる研究員の女。
その二人に囲まれた男が一人。
…頑張れ侠介。君にエールを!!
研究施設に着き、橘は「準備をします」と言って先に研究室に行った。
彰とバラドは応接室にいる。
『所で侠介』
『ん?』
『お前が気付いてるか気付いてないかは知らねぇが、あの橘って研究員……』
『分かってる…しばらく気付かないフリするさ』
ガチャっとドアが開き男性研究員が入ってきた。
『あの~特A隊の侠介さんとバラドさんですよね?
橘研究部長が呼んでます』
『さて、行くか侠介』
『あぁ』
案内されたのは、侠介と神咲が一度来た研究室。
そこには前にも居た研究員のマキとケンタもいる。
『マキ、ケンタ。そんな日にち経ってないけど、久し振り』
侠介が手を挙げる。
『相変わらず地味な二人だな。初登場から二人は「特徴」すら紹介されてねぇし』
するとマキは医療用のメスを片手に歩み寄る。
『侠介君!! それは私達も作者に言いたい事はあるけど、それ以上傷を広げるなら「貴方の腹を広げる」よ』
『じょ、冗談だって』
『侠介、お前は色んな意味で人気者だな』
『マキ、遊んでないで連れてきて』
マキは橘に言われ二人を奥に連れて行く。
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