STAGE 5 世界が広いと思う時

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辺り一帯は海で囲まれ、陸地すらなく水平線しか見えない海上に要塞とも言える巨大な建物がある。 城を取り囲むような巨大で分厚い塀があり、その中心にあるのは "世界政府・中央司令部" 世界各地に存在する組織イーグルの大元。 内部には人気が無い一室があり、床には水面が広がり浮石が浮いている。 その上に軍服を着た男三人と白衣を着た女性一人がいる。 『シュリアスが第一支部に? 何でまた』 『さぁな。また気まぐれじゃない?』 『そんな事ないわ。ちゃんと目的があって送ったのよ』 そう言った白衣の女性の瞳は、僅かに入り込む光によって瞳孔が「細く」なる。 『その「イビルアイ」…相変わらず、リシェイ。 いや、今は「橘研究部長」だったか』 『貴方だって変わらないわね、その左腕』 軍服を着た男の一人の左腕はワニの鱗の様になっている。 その時、辺りに生暖かな風が吹くと同時、4人の頭の中に直接声が響く。 (皆、すまぬな……) 『別に気にしてないぜ。やっと収容所から出れたんだからな』 (そうか。だが、まだリシェイとシュリアスの様に表に出す訳にはいかぬ。 それより、例のリグリアはどうなった?) 『正直失敗ね。でも、「統率」という部分においてはギリギリ合格かしら』 (まだ時間が掛かるか……次は?) 『既に投入済み。今度は調整をかけたリグリアを三体』 (わかった……他の者には追って勅を出す) その声は微かに笑っている様にも聞こえた。 床に広がる水面には小さな波が起っている。 まるで心臓の脈を打っているかの様に…… その頃、第一支部内に警報が鳴り響いていた。 「…繰り返します。 エリア21にてジュバロの群れを確認。 数は150~200。 よって、重要度はAと判断されました。 ウラノス隊及びギュプトス隊。 待機人員も含め、全部隊員速やかに出動準備願います。」 放送と同時に、ミシェルは通信を伝い指示を出している。 『全員聞いた通りよ!! 一般隊はポイント到達時、進路閉鎖及び足止めを行いなさい。 特A隊は全員ガン・ソードの使用を許可する。 指令隊はポイント到達までに、リミッターを外しフルチャージしなさい』 そしてミシェルは足を止める。 『何をしているの、シュリアス。 貴女にも出動命令が出ているでしょ?』 シュリアスは笑みを浮かべながら言う。 『ミシェル隊長~それは残念でした。 私は「どこの部隊にも所属してない」んですよね~。 だから出動するかしないかは私次第……』 ミシェルは何も言わずに走り去り、その後ろ姿をシュリアスは笑みを浮かべながら見ている。 『さてと、私は私の仕事をしないとね~』
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