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ACT5.6[それぞれの攻防]
『弱いモノには興味がないの。 だから邪魔よ』
シュリアスの足元から無数の長い針状の物が飛び出し周囲のジュバロを次々と刺していく。
『(そろそろかしらね。
リシェイが言っていたN・G(ニーベルン・グロッサム)の第二解放…どの程度の力なのか楽しみ)
ペスト、戻りなさい』
ペストと呼ばれた真っ赤な人型は、とび跳ねる様にシュリアスの元へと戻る。
そしてペストがシュリアスの近くに戻った時、ペストは地面に溶けるように消えた。
一方、シュリアスとは逆側に位置する場所でバラドと神咲は新種のジュバロと対峙していた。
現れたのは、以前ミシェルが倒したジュバロとは違う姿をしてはいるが、明らかに人型の新種だと分かる。
『これが新種のジュバロ…』
『みたいだな。見た感じ進化クラスにも見えるが、確かにこんなジュバロ見た事ない』
バラドと神咲が同時に構えると、新種のジュバロは「ギュオォォォ」と唸り声を上げる。
するとジュバロの眼が紅く光り、背中から左右に2枚ずつの羽が飛び出した。
『コイツ、飛ぶ気か!!』
バラドはそう言ったが実際は全く違っていた。
ジュバロの羽は飛ぶ為の羽ではなく、「攻撃する為」の羽だった。
ジュバロが羽をばたつかせて数秒後に二人に頭痛が走る。
『クッ、なんだコレ!!』
『バラドさん、こ…コレは、超音波!!』
あまりの激しい頭痛で二人は膝をつき、それを笑うかの様に見ている新種のジュバロ。
そしてジュバロは高速で駆け出し、バラドの顔に膝をぶつける。
バラドはそのまま飛ばされ地面を転がり岩にぶつかり止まった。
『バラドさん!! クッ…(力が、出ない…けど、やられる訳にはいかない!!)』
神咲は頭を押さえながら立ち上がり、能力を解放させる。
体の周りに青白い光を纏った神咲は物凄い勢いでジュバロとの距離を詰める。
『速いのはアナタだけじゃないのよ!!』
そう言いながら、回転した勢いでジュバロの顔の左側面を蹴り飛ばす。
だがジュバロは空中で回転しながら何も無かった様に地面に着地しニヤッと笑う。
『く……野郎、思い切り当てやがって』
『バラドさん、大丈夫ですか!?』
『あぁ。それより今一瞬だけ超音波が完全に切れた……丁度、神咲が攻撃してジュバロが空中にいる時位だな』
『……羽!!』
『そういう事だ。あの羽は「二つの行動を同時に起こせない」』
ジュバロはまた羽をばたつかせてると、さっきと同じく頭に響く。
『神咲。長期戦になれば精神的にも体力的にもこちらがかなりの不利になる…』
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