STAGE 5 世界が広いと思う時

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『連続的に攻撃を食らわす!! アイツは地面に着かなきゃ超音波は出せない!!』 『はい!!』 バラドは能力解放と同時に霧から白銀の鎚を作り出しジュバロに向かい駆け出す。 それに反応する様にジュバロは更に羽を高速で動かすが、バラドは気にせずにランスを振り下ろした。 ジュバロは後方へ跳ぶ様に下がるが、後ろには神咲の獣型のブラディアがいる。 『逃がさないわよ!!』 その神咲の声と同時に獣型は新種のジュバロの足や腕に噛み付く。 離せとばかりに腕や足を上下左右に振るが獣型は離れない。 『おっと、こっちにも居るのを忘れるなよ!!』 バラドはジュバロが獣型に気を取られている間に、霧で出来た白銀の鎧を身に纏い鎚を振りかざしていた。 『ギュオォーーーー!!』 『さっきから耳障りなんだよ!!』 バラドが振り下ろした鎚はジュバロを押し潰す様に地面を叩き付けた。 ジュバロが居た場所からは砂煙が上がっている。 バラドと神咲は少し離れ様子を見る。 次第に砂煙無くなっていき、中心には潰れたジュバロが見えた。 『(見た感じ死んだか。新種のくせに呆気なさ過ぎる) 神咲、ここは俺が見張る。だからポイント189に向かえ。 』 『分かりました。それよりバラドさん大丈夫ですか? かなり疲労しているみたいですが…』 『さっきみただろ? あの姿は維持するだけでもかなりの体力を消耗する。 破壊力・防御力はあるが両刃の剣って訳さ。 それより早く行け、周囲の部隊員には俺から伝える』 神咲はコクッと頷き、獣型の背中に乗りポイントへ向かった。 『マジで疲れたな……ぐっ…』 バラドが俯くと口から地面に血が一滴、二滴と落ちる。 『負荷がデカ過ぎるぜ……しかし、負担をかけ過ぎたか』 口から滴る血を拭い去り、バラドは近場に居る部隊員に通信をし始めた。 『傷が深い者を優先して運び出せ!! 特A隊・一般隊に限らず戦える者は前に出ろ!!』 ポイント189では、先に到着したミシェルが指示を出しながらジュバロと交戦していた。 『ミシェル隊長、後方にジュバロがいます!!』 いきなりの隊員の声でミシェルが振り向くと蟷螂の様なジュバロが腕(鎌)を振り下ろす瞬間だった。 『しまった!!』 ミシェルはすかさずガン・ソードを構えようとするが間に合わない。 思わず目をつぶった瞬間、バシュンと音と共にジュバロの叫び声が響く。 ミシェルが目を開けると、さっきのジュバロの腕は吹き飛び痛みに苦しむようなジュバロがいた。 『指示を出すなら後ろに下がってくれ。 後は俺達が引き受けたぜ』
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