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侠介は立ち膝を付き口を拭い去る。
拭い去った右手の甲には真っ赤な血が付いていた。
『(コイツの力まさか……認識が甘かったか)』
そう思った侠介は通信機に手を当て話す。
『ミシェル、今すぐブラディア所有者以外撤退させろ』
「いきなり何を言っているの!?」
『聞け。このジュバロ、進化クラスの融合体だ。
これは、侠介からの意見じゃない。
俺という、「ブラディアからの警告」だ!!
アンタの立場は理解してるつもりだが、仲間を全滅させたくないのなら、交戦しながら撤退させろ!!』
通信をしている声だけとは言え、初めて焦りにも聞こえた侠介(ブラディア)に言葉が出ずに固まるミシェル。
「こちらログナード!! ミシェル!!
侠介が言ってたのはどういう事だ!!」
そのログナードからの通信により我に返り冷静に通信する。
「…そのままの意味だと思うわ。
新種のジュバロに対して、ブラディア所有者でも「勝てるか解らない」って事。
ログナード。そっちの部隊員に撤退命令を出して!!」
ミシェルは拳を握り、怒りも混じったような声で隊員にブラディア所有者を残し撤退命令をだし、通信機を地面に叩き付ける様に投げつけた。
『私は…私達には何も出来ないっていうの?』
『ミシェル隊長、バラドから通信が入っています』
隊員の一人が駆け寄り通信機をミシェルに渡す。
「聞こえるかミシェル?」
『えぇ聞こえてるわ…』
「お前の事だから、歯痒くて通信機ぶん投げただろ?」
『……状況が状況よ、用件は纏めて伝えなさい』
「そうだな…さっきの通信は聞いた、侠介の言う通だ。
後は俺達が引き受ける。
安心しろ…必ず戻る……」
『バラド……侠介、玲華、バラド、神咲!!
生きて戻りなさい!!
これは…隊長命令よ!!』
ミシェルは続けざまに部隊員に撤退命令を出した。
『……さすが意思を持ったN・G(ブラディア)は違うわね。
確かに全部隊撤退であれば全滅は避けられる。
でも、それじゃ自分達は死ぬかもしれないわよ?』
シュリアスは重装バイクにまたがり走り出した。
ポイント189では後退する部隊員とD・Cクラスのジュバロの交戦。
更には新種ジュバロと侠介が激しくぶつかっていた。
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