STAGE 5 世界が広いと思う時

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オベリスクは神咲と一体になる様に消え、神咲は落ちているガン・ソードを手に取り新種ジュバロに向け、出方を待つ。 そして、しゃがんでいる侠介を横目で見る。 (侠介さんの能力第二解放……ミシェル隊長から聞いてはいたけど、本当にブラディア自身が体を動かしているみたい。 意識のある今なら解る。 侠介さんから感じられるこの気配に対し、ブラディアが本能的に警戒する感じが……) 神咲は気持ちを切り替えるように、ゆっくりと視線をジュバロへ移す。 『今はこちらに集中しないと』 オベリスクにより吹き飛ばされた新種ジュバロはゆっくりと砂煙から姿を現す。 『キ、貴様の力、キキ、危険だ、だな。 さすがは、サササ、最高位の、ブブ、ブラディアだ』 そのジュバロの言葉に眉間にシワを寄せる神咲。 『(何、このジュバロ……喋るだけじゃなく私達(人間)の情報を知ってる? そんな事有り得ない…進化クラスより知能が上って事なの?)』 と、その時新種ジュバロは奇声を発する。 すると地面から一匹のジュバロが現れ、新種ジュバロはその現れたジュバロを喰い始めた。 いきなりの光景に一瞬後ずさる神咲。 『何? 何なのあれ……』 あまり見たくない光景だが、良く見ると新種ジュバロの6本あった腕が2本吹き飛んでいた。 それはオベリスクの攻撃の風圧と地面に叩き付けられた時の衝撃によりちぎれたのだと分かったが、そのちぎれた先端から腕が飛び出し再生しする。 『再生!! あのジュバロ、仲間を喰って回復させたの!?』 その直後、新種ジュバロの姿が消えた。 いや正確には消えたのではなく、跳んだだけ。 『コイツ、速い!!』 一瞬の出来事。 姿は確認出来たが、目に見えない「鞭の様な何か」に叩かれ吹き飛ばされる。 だが神咲は吹き飛びながらも、すかさずガン・ソードを地面に突き刺し失速させた。 ジュバロを見ると余裕があるのか、気持ち悪い顔は笑っている様にも見える。 神咲は一瞬視線を反らし、左腕を見る。 するとそこには鞭で叩かれた様な後が残っていた。 『これは……成る程、あの足で蹴飛ばされたみたいね』 ジュバロの足はバッタの足の様になっている。 その足から超人的な瞬発力と、瞬発力を合わせて足を鞭の様に使い攻撃をしたと神咲は考えた。 『動きが素早く、力もある。おまけにタフって…やはり長期戦は出来ないわね』 神咲はガン・ソードを地面から抜き一呼吸する。 『瞬発力は貴方の特権じゃないわ!!』 言葉と同時に地面を蹴ると、蹴った所から砂煙が舞いロケットの様に飛び出した。
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