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高速で飛び出した神咲は前回転しながらガン・ソードを振るう。
体が小さく素早い動きだからこそ出来る技。
ガン・ソードにぶつかったジュバロの左腕は3本まるごと回転に巻き込まれ弾き飛ぶように切り落とされ「ギャー」っと声をあげるジュバロ。
神咲は回転を止め、着地しすかさず構える。
『今です!!』
『借りは「侠介自身」に付けておく!!』
その声と同時、甲殻が割れる様な音と共に゙ュバロの体が地面に叩き付けられた。
『グ、ギャッ!!』
その後ろで軽快に着地をする侠介。
『さてと……お前』
『私の名前は「お前」ではありません。先程名乗ったはずですよ侠介さん…いやニーベルン・グロッサム。
貴方はブラディアと言えど、侠介さんの「一部」。
意思を持っているなら尚更、学習して下さい』
『悪かったな。じゃあ神咲、前に「私のブラディアは擬似だ」と侠介に言っていただろ? だがさっきは「オベリスク」と言った……』
『意思を持ったブラディアは、意外と人間みたいに細かい感覚があるんですね。
私のブラディア能力は「擬似」よ。そして名はオベリスク。
さっき貴方に見せた姿は、神話に登場し神の中の一神と言われる守神オベリスクの擬似の一つ』
『…成る程な。だったら今度は俺が見せてやるよ。
時間も侠介自身の体力も無いから一度だけだがな』
そう言った時、ジュバロが立ち上がる。
『キ、貴様ラ…コ、コロシテヤル!!』
周囲に衝撃波が走る。
それは今までとは異なる、そう、言わば暴走に近い。
『素が虫のくせに、プライドが傷ついたのか?
だったら見せてみろよ、テメェの本体を』
侠介の挑発に呼応するようにジュバロの体が次第に大きくなっていく。
細く曲がっていた足や昆虫の様な腕、体が殻を破る様に異様な音を立てる。
『こ、これって……進化!?』
『いや…進化じゃねぇよ。
人間の言葉で言えば「キレた」ってやつだ』
半笑いで言う侠介の体も能力を解放した時の様に、光に包まれる。
『何をする気なの!?』
『言ったろ? 見せてやるってな。お前も、見た事も聞いた事も無いブラディアの能力「第三解放」ってやつを』
さっきの衝撃波は退いている各部隊にも伝わっていた。 もちろんシュリアスにも…
シュリアスは新種ジュバロと解放を始めた侠介の姿を確認出来る位置に重装バイクを停車させる。
『あらあら。だからリグリア(試作品)といえ、人間の意思を持たせるのは嫌だったんだけど。
でも、お陰で予想以上の収穫が得られるわね~。
第三解放。見せてもらうわよ、佐久間侠介。
どれだけ「私達に近付いた」かをね……』
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