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丁度、バラドと玲華もポイント189へ来た。
『おい…これって……』
『侠介……』
侠介はまばゆい光りに包まれ、次第に薄れていく。
そして、その中心にはいつもの姿と変わらない侠介が目をつぶったまま立っていた。
侠介はゆっくりと目を開けニヤッと笑う。
体が数倍に大きくなったジュバロは間髪入れずに侠介に向かい腕を振り下ろすと、重みのある音と振動が響き渡り砂煙が舞い上がる。
『侠介ーッ!!』
玲華が悲鳴にも似た声をあげると同時、ジュバロが後ろ向きに倒れ込む。
『重みの効いた一発だが……それだけだ』
それは侠介の声。
砂煙からゆっくり出てきた侠介の姿はやはり能力解放前の普通の侠介に見える。
だが違う。
能力解放前なら、あれだけ巨大なジュバロの一撃を受けたら無傷では済まない。
そう、明らかに能力は解放されている。
通常ならば、何かしらの変化があるが今の侠介には見当たらない。
『第三解放って一体どんな能力なの……』
そう言った神咲の体が少し震えていた。
いや正確にはブラディアが震えているのか?
「私…侠介さんに怯えてる?それともブラディアが?」
と、神咲は心の奥で繰り返していた。
その感覚とも言うべき物は神咲だけではなく、バラドと玲華も感じていた。
『近寄っただけで押し潰されそう……』
倒れ込んでいるジュバロに歩み寄る侠介。
そしてゆっくりと口を開く。
『侠介、俺の声聞こえてるな? 時間が無いからさっさといくぜ!!』
そして侠介を中心に地響きが起こり光に包まれた。
その光景から、ブラディア所有者だけが理解できた。
「さっきの第二解放時と比べ明らかに異質」だと。
光が薄れていき侠介の姿が明らかになっていくが、変わった所と言うと金髪だった髪が光の具合なのか銀髪になっているくらいだ。
『変わったのは髪の色くらいか?』
『見た感じはね……でも明らかに何かがちがう』
バラドと玲華は口こそ動くものの、体はその位置から先に行こうと動く事はない。
それは、侠介を中心に目に見えない誰も立ち入る事の出来ない絶対的なフィールドが張られている感じ。
また、そのフィールドに足を踏み入れた瞬間
「全員を敵と見なす」
と言われている様な感覚が伝わってきていた。
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